私たち人間は「社会的動物/Social Animal」である
私たち人間は、「Social Animal/社会的動物」とも言い表されることがあるように、社会の中で共生しています。社会の中で生きていくために必要不可欠なツールがコミュニケーションです。コミュニケーションは、「言語コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション」の二つに分類されます。日々の生活において、言葉によるコミュニケーション、つまり「言語コミュニケーション」が重要視されがちですが、実は「非言語コミュニケーション」も同じく重要であるとされています。
なぜ非言語的コミュニケーションが重要なのか
非言語コミュニケーションの重要性を見出した理論の一つとして、
1971年、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによって発表された、
「7-38-55ルール」あるいは「3Vの法則」と呼ばれる学説があります。

相手から話すことば、「言語情報」から7%、
声のトーンや大きさや速さなどの「聴覚情報」から38%、
相手の表情やしぐさなどの「視覚情報」から55%
情報を受け取っているとされています。
つまり、私達が受け取っている情報の内、93%は非言語から来ているのです。
*非言語情報が占める割合については、研究によって社会的な意味の60%から65%が非言語的なものによって伝達されているとする結果(Birdwhistell, 1965)や、69%が非言語によって伝達されていることを示した結果(Burgoon, 1994)など、ばらつきはありますが、多くの研究において非言語的要素の影響の大きさは認められているといえます。
ボディランゲージとは
みなさんは、「非言語コミュニケーション」や、「ボディランゲージ」という言葉を耳にしたことがありますか?
これら2つの言葉は混同されがちですが、細かく言うと少し違いがあります。
まず、非言語的コミュニケーションには主に3つの要素があるとされています。
- 表情やしぐさ、視線や対人距離などを含む動作的要素=ボディランゲージ
- 服装や持ち物などを含む外見的要素
- 声の大きさ、速さ、トーンなどを含む音声的要素
この中でも、表情やしぐさなどの動作的要素をボディランゲージと呼びます。
コミュニケーションにおけるボディランゲージの重要性
世の中には、約70万種類以上ものボディランゲージが存在すると言われています。表情やしぐさ、視線、対人距離などのボディランゲージは、その人の本音を表すとされています。なぜなら、感情を司る大脳辺縁系の反応スピードは言葉を司る部分の反応よりも遥かに速いからです。
しかし、私たちのボディランゲージを正確に読み取る技術はそこまで高くはありません。その結果、人間関係において誤解や衝突が生まれやすくなり、社会の中で生きている以上、コミュニケーションのすれ違いにおける悩みは尽きません。
表情やしぐさなどのボディランゲージを読み取り、相手の気持ちを汲み取るスキルは、トレーニングを積むことで向上させることができると考えます。しかし、多くの人は、幼い頃から学校でも家庭でもボディランゲージを読み解く技術や効果的に使う技術を教わることはありません。また、これらの技術を学ぼうにも、ほとんどの講座は海外の機関により、当然のことながら英語で行われています。そうなると、より一層ボディランゲージを学ぶことが困難になってしまい、実際にボディランゲージの重要性への認知度は低いことがわかります。
参考文献
Birdwhistell, R. L. (1995). Background to kinesics. ETC: A Review of general Semantics. 13, 10- 18.
Burgoon, J. K. (1994). Nonverbal signals. In M. L. Knapp, & Gg. R. Miller (Eds.), Handbook of interpersonal communication. Thousand Oaks, CA: Sage, pp.229-285.
Mehrabian, A. & Ferris, S. R. ; Inference of attitudes from nonverbalcommunication in two channels. Journal of Consulting Psychology, 31, 248-252.(1967)